私の剣道物語 第1回


剣道経験について

錬武館山口道場 木村信二郎

はじめに

 錬武館山口道場木村です。大和市剣道連盟にて何か剣道に関する紹介ができないかということで会長よりご指示いただき、簡単ではございますが私の剣道経験の一部をご紹介させていただきます。

【自己紹介】

    ・剣道教士七段(47歳)

    ・石川県立金沢桜丘高校OB

    ・東京理科大学OB

    ・ソニー株式会社(現職)

【海外での剣道経験】

    ・1994-1995年 英国Liverpool :大学4年次

    ・2008-2013年 台湾台北市  :ソニー株式会社海外駐在

    ・2016-2019年 中国深圳市  :ソニー株式会社海外駐在

 

1994-1995年 英国Liverpool

 

 1994年当時、21歳で初めての海外渡航、いきなりの1年間の留学となり、渡航当初は言葉も全く通じず生活/就学自体が大きなストレスに。しかしながら、街で唯一の剣道クラブに顔を出し、言葉が通じない孤独感の中でも稽古することで大きなストレス解消。稽古は週に2回、初心者を交えた4,5名の稽古(日本人は私のみ)。稽古場所は大学のDance Studio。ダンス用のため、床は板張りのスプリングあり、硬さは全く問題なし。ただし、板と板との隙間は大きく砂交じり。 

 

 Liverpoolはイギリスの北西部に位置する47万人の町。かつては主要な港湾都市であったがBeatlesの出身地として有名。現地在住1年間で剣道関連でお会いした日本人はごくわずか。駐在員としておられた方もManchester(車で1時間半)に1名のみ。Localメンバーとの稽古中心であり、日本人との接触がない点は英語習得においては○。指導経験がゼロの状態でいきなり“Sensei”と呼ばれる立場にとまどいがあったが、

この経験がのちの考え方に大きな影響を及ぼすこととなる。   

道場環境 剣道具/竹刀調達 世界大会へ参加
X  ◯

2008-2013年 台湾台北市

 

 イギリスでの経験から日本企業へ就職し、その後海外駐在の希望も叶い、台湾での生活が始まる。今度は仕事と家族、中国語の勉強との両立が課題。着任前から台北市の2つの道場を紹介してもらうなど、万全を期しての着任。主は土曜日早朝、日本人学校での子どもたちとの稽古。それまで子どもたちへの指導経験はなく、手探りながら日本人の先生方とともに強化に励む。台湾地場の剣道は非常に盛んで台北市内にも道場がたくさんある。子どもたちの大会も多く、台湾全土の大会も定期的に実施され、有意義な交流ができた。世界大会での上位進出は高段の先生方(台湾人)のご指導及び選手の意欲的で熱心な稽古の賜物である。我々大人の稽古では台湾メンバーとの激しい稽古が常にできたおかげで、自身の剣道において後につながる貴重な修行となった。特に、台北剣道館の何明華先生は指導方法から稽古に至る全てを教わった恩師である。

リンク: 臺北剣道館

 

 台湾島内のみならず上海、香港、シンガポール、マレーシアなどへの遠征によりアジアの剣道事情に触れ、日本人駐在員が各地で行う活発な活動を知る。

道場環境 剣道具/竹刀調達 世界大会へ参加
◎   ◯

2016-2019年 中国深圳市

 

 今度は単身での中国赴任。家族は不帯同ではあるものの、(当時)活況を呈する中国市場での業務成果は大きく求められた。一方で、週末は稽古の時間が確保できる環境に。ご紹介もあり深圳明剣館を主の稽古場とする。日本人駐在員は5、6名、中国人は20名程度。当初、指導を全てお任せ、のように求められたが、Localメンバーに根付き体系的に道場全体が上達していく組織であるべきと考え、あえて全方位での指導は避けた。一方で、稽古は全力で激しく厳しい稽古で対応し、レベルに合わせて考えさせるやり方を選択。何名かは中国代表となったが、指導については多くのことを学んだ。

 

 道場は個人経営で、私費を投じて道場を設営している。竹刀/剣道具の調達は中国国内で問題なく可能であるが、多くのメンバーが修行の過程で悩み、試行錯誤の上で課題を克服し、上達(昇段)を継続してほしいと切に願う。剣道はまだまだ発展途上なので将来また彼らと稽古する機会が楽しみであり、自身にとっても大きなプレッシャーである。

 

 3年という短期間ではあったが、上海や中国国内での出稽古、アジア大会などへの参加を通してアジア圏での剣道には深くかかわることができ、今となっては財産となっている。

道場環境 剣道具/竹刀調達 世界大会へ参加
 ◯

まとめ

 

 台湾から帰国し、以前住んだことのあった大和に居を構えることとなった。自分の子どもたちが剣道を始め、錬武館山口道場にお世話になることになり、大和の先生方に出会うことができた。

 

 海外経験のみならず、剣道を通じてこれまでたくさんの先生方/仲間に出会たことが自分にとってかけがえのない財産である。学生から実業団へと進み、指導経験が全くなかった自分にとって子どもたちや海外現地メンバーとの稽古の中で指導について考え、試行錯誤を繰り返してきた。自分を含め目標は各々異なるが、今後はこれまでの経験を生かし、微力ながら剣道において恩返しができればと考えている。